コラム

構成:スポーツナビ
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巨人を生き返らせた大道のガッツポーズ
プロ野球解説者・大塚光二の日本シリーズ解説

2009年11月5日(木)
8回、同点打を放ちガッツポーズの巨人・大道。40歳のベテランがチームに前向きな気持ちを取り戻させた
8回、同点打を放ちガッツポーズの巨人・大道。40歳のベテランがチームに前向きな気持ちを取り戻させた【写真は共同】

 プロ野球日本シリーズの第5戦が5日、東京ドームで行われ、巨人が3対2で北海道日本ハムにサヨナラ勝ちした。対戦成績は巨人の3勝2敗となった。
 スポーツナビでは、日本シリーズの毎試合後にプロ野球解説者・大塚光二氏による特別解説をアップ。現役時代の98年に敢闘選手賞を受賞し、通算打率3割9分7厘と日本シリーズで勝負強さを発揮してきた大塚氏は、巨人と日本ハムの第5戦をどう見たのか?

■巨人の重い空気を振り払った代打・大道

 今日は本当にいいゲームでした。両リーグのチャンピオン同士の真っ向勝負で、1球も目を離せないような緊張感がありましたね。

 試合は序盤から巨人・ゴンザレス、日本ハム・藤井の投げ合いで進んで、両投手ともに持ち味を発揮していました。特にゴンザレスはホーム最終戦、相手に王手をかけさせたくない中で良く投げたと思います。元々、この日本シリーズは巨人の方にプレッシャーがかかっています。去年、王手をかけてからの2連敗で西武に敗れたことや、戦力的に有利だと言われていることから、巨人には「今年は絶対に勝たなくてはいけない」という思いがあるんですね。
 そのプレッシャーと、かつ1点をリードされていた重い空気を振り払ったのが代打・大道でした。1点を追う8回1死二塁で打席に入り、2球目の前に日本ハム・林のけん制悪送球で1死三塁になった場面。いつものようにバットを短く持って、集中力を高めてファウルで粘りました。そして、最後にライト前へ同点タイムリーヒットを放って、ベースの上で大きなガッツポーズ。このガッツポーズが巨人を生き返らせました。個々の力に優れていて、冷静な選手が多い巨人なんですが、40歳のベテランが必死に粘って食らいついて、心から喜びを表す姿を見てムードが変わったと思います。巨人が「いけるぞ」、「勝てるぞ」とあらためて前向きになれたのは大道の存在が大きかったですね。

 また、この8回は日本ハムにとっても非常に難しい場面でした。7回まで藤井が無失点に抑えていて、投手を代えたことで試合の流れも変わりかねない場面。1死二塁で建山から林にスイッチしたんですが、シーズン中の実績を考えれば、林と同じ左腕なら宮西だったと思います。ただ、林は古巣の巨人に対して強い気持ちがあるでしょうから、梨田監督はそこに賭けたのではないでしょうか。梨田監督の親心があったのかな、と感じましたね。

■巨人有利だが……シリーズの結末はまだわからず

 日本シリーズは短期決戦ですけど、3敗まではできるんです。1、2戦目に連敗すると厳しいですけど、それさえ避ければある程度は余裕を持って戦えます。日本ハムはこの東京ドーム3連戦で1勝して札幌ドームに帰ることが最大の目標でした。6、7戦はホームで戦えるし、武田勝とダルビッシュという精神的に強い投手が先発できます。この事実が日本ハムの心のよりどころになっていました。

 そう考えると巨人が王手をかけたからといって一気に勝負が決まるわけではないと思います。武田久は今日サヨナラ負けを喫しましたけど、広い札幌ドームに帰れますし、日本ハムで一年間ストッパーの役割を果たしてきた自負がありますから、明後日には切り替えてくるでしょう。そして気になる先発は、僕はダルビッシュだと予想しています。ダルビッシュの体の状態は心配ですけど、無理をさせるなら第6戦。ここをエースで取って、最終戦に総力戦で挑むのではないでしょうか。

 現時点では王手をかけている巨人がもちろん有利です。しかし、先発が予想される内海やオビスポ、東野にはまだ不安が残ります。それに対して日本ハムは迷いなく戦ってくるでしょうから、このシリーズの結末がどうなるかはまだわかりませんね。両チームともにレベルの高いプレーをしていますし、集中力のあるナイスゲームが続いています。7日の第6戦も一瞬も目を離せない、面白い試合になると思います。

<了>

■大塚光二/Koji Otsuka

現役時代は西武の黄金時代を支え、現在はプロ野球解説者として活躍する大塚光二氏
現役時代は西武の黄金時代を支え、現在はプロ野球解説者として活躍する大塚光二氏【スポーツナビ】

 1967年8月26日生まれ。兵庫県出身。育英高−東北福祉大−西武。180センチ、78キロ。右投げ左打ち。育英高で本格的に野球を始める。東北福祉大では主将を務め、同級生の佐々木主浩(元横浜・マリナーズ)、後輩の金本知憲(阪神)らとプレーした。89年のドラフト3位で西武に入団。抜群の勝負強さで西武の黄金時代を支えた。2001年に引退後は野球解説者として活躍。社会人野球クラブチーム「一球幸魂倶楽部」の監督も務めている。
 この秋には出演しているJ SPORTSの人気番組「ガンバレ日本プロ野球!?」が待望のDVDに。ゲストとして最多出演を誇る金本知憲の登場回を収録している「ガンバレ日本プロ野球!? 金本知憲編 〜こんなアニキはどうでしょう?〜」が10月23日に発売された。

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