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韓国 サムスンライオンズ(KBO)

■打撃陣をカバーする投手力でアジア王者目指す

 就任2年目で2年連続優勝という、韓国球界初の偉業を達成したソン・ドンヨル監督(元中日)率いるサムスンライオンズ。6月9日に首位に立って以降、1位の座を明け渡すことなくシーズンを終えた。さらに、韓国シリーズを4勝1敗1分で制したという結果だけ見ると圧倒的な強さを誇ったチームに見えるが、実際のところ非常に厳しい状態の中、勝ち取った栄冠だった。

 昨年の優勝メンバーと戦力に大きな変化はなく、今季も大方の予想は優勝候補筆頭。しかし、ロッテとの開幕2連戦を終え、監督の口から出てきた言葉は「厳しい4月」だった。昨年も投手力で勝ち上がったサムスンだが、オープン戦からの打撃陣の不調は深刻で、チーム13年目の主軸、キム・ハンスの4月の打率は1割7分。また昨年フリーエージェント(FA)でサムスン入りした、球界最高年俸のシム・ジョンスも左肩と右ひざの手術でチームを離脱と困難を極めた。しかし5月に入り、それまで1位を走っていたSKワイバーンズが、3番打者として活躍していた野手初の日本人助っ人・塩谷和彦(元オリックス)の負傷離脱(のちに退団)もあり急降下。そのすきをつき、各チームとの対戦が一巡した辺りからサムスンは安定した戦いをし始めた。しかし、終盤には主力が相次いで負傷。2位現代に1ゲーム差まで迫られる厳しい展開となるが、なんとか逃げ切りシーズンを終えた。

 チームの勝ちパターンは明確で、先発投手が中盤以降までゲームをつくり、セットアッパーのクォン・オジュン(67試合32ホールド、防御率1.69)と抑えのオ・スンファン(63試合47セーブ、防御率1.59)の“KOパンチ(2人の名前の頭文字から)”につなぎ逃げ切るというもの。今季、サムスンで完投したのは4月の起亜戦で9回にソロアーチを喫し完封を逃した、ジェイミー・ブラウン(11勝/元阪神)の一度のみで、継投が重要なポイントとなっている。抑えのオ・スンファンは、昨年ルーキーながら韓国シリーズMVPを獲得。その後のアジアシリーズ、ことし3月のワールドベースボールクラシック(WBC)への出場と蓄積疲労が心配されたが、高めに浮いても抑えきる球威とマウンド度胸で、韓国記録となるシーズン47セーブを達成。岩瀬仁紀(中日)の持つ日本年間最多46セーブを抜き、「アジア新記録」として話題を集めた。

 打撃陣では今季突出した成績を残した選手はいないが、通算安打1946本、通算打点1200(いずれも歴代1位)と球界記録を更新し続ける「記録の男」ヤン・ジュンヒョクや、主将としてチームを引っ張る捕手のチン・カブヨン、WBCで華麗なショートの守備を披露し各チームから絶賛され、韓国シリーズMVPにも輝いたパク・ジンマンなど、経験豊富な顔ぶれが並ぶ。アジアシリーズでカギを握るのは、昨年の本大会でコンパクトなスイングを日本の評論家陣から絶賛されたパク・ハンイ。野手の間を抜く鋭い打球と果敢な走塁で長打を生めば、得点機がグッと広がる。

 残念なのは、韓国シリーズ全6試合のうち第2戦を除いてすべてに登板したエースのペ・ヨンスが右ひじ手術のため、本大会不参加ということ。そのため、左打者が中軸に並ぶ日本代表・北海道日本ハムに対し、ティム・ハリカラ(12勝)、ブラウンの先発陣と、チョン・ビョンホとクォン・ヒョクの両左腕をはさみ、“KOパンチ”へつなぐ投手総動員体制で挑む。 「(10月29日に優勝が決まり)昨年に比べ準備の時間がないが、投手力で優勝できるよう頑張る」と話すソン・ドンヨル監督。初戦の北海道日本ハム戦に敗れても、中国・チャイナスターズ、台湾代表・LA NEW戦を取れば優勝のチャンスはある。そのためには「5回までにリード、そしてKOパンチへ」――これが必須条件だ。<文/室井昌也>

室井昌也/Masaya Muroi
1972年東京生まれ。レポーター・MC業の傍ら韓国プロ野球の取材活動を開始。韓国プロ野球の伝え手として、著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(小学館スクウェア)は毎年発行。アジアシリーズでは中継放送局への情報提供やアジアシリーズプロモーションの一環として『韓国プロ野球トークライブ』を11月11日(土)に実施する

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