コラム
大リーグ挑戦で“格差”が生まれる理由とは!? (1/2)
日米球界を経験したデニー友利氏が解説
米大リーグ移籍を目指す日本人選手に、“格差”が生まれている。ダルビッシュ有はポスティング移籍により、40億円を超える金額で入札され、FA宣言した和田毅はオリオールズと2年、6億4000万円で契約。岩隈久志も複数の球団と順調に交渉を進めている。その一方で、日本人野手の評価は下がっている。川崎宗則はマイナー契約の可能性があり、青木宣親、中島裕之のポスティング入札額は約2億円に抑えられた。
投手と野手でこれほど評価が分かれている理由とは!? 現役時代に日米の球界でプレーし、ボストン・レッドソックスで国際担当顧問兼巡回コーチを経験、来季から横浜DeNAの投手コーチを務めるデニー友利氏に話を聞いた。
■「日本人は3年しかもたない」の評価を変えた黒田
――まず、レッドソックスでの巡回コーチというポジションはどのような役割だったのですか?
キャンプから参加して、2Aと3Aを巡回してコーチ陣に助言をしたり、意見交換をしました。コーチ会議にも参加しましたが、当時はエプスタインGM(現カブスGM)を中心とした組織の歯車のひとつとして動くことが求められました。僕はグラウンドでする野球しか知らなかったので、最初は組織が巨大すぎて消化できませんでしたね。
新人選手の情報についても、日本ではビデオを見るぐらいですが、どんな性格か、どこの国のどの地方の出身か……など本当に細かく選手を見ていました。明確なアメリカ型だったと思います。
――大リーグ挑戦の投手と野手の間に格差が生まれていますが、投手が高く評価される理由は?
まず、投手陣の評価が高い状態でキープされているのは黒田(博樹/ドジャース)の存在が大きいです。黒田は4年目の今季に13勝を挙げ、200イニングを投げました。メジャーでは「日本人は3年しかもたない」と言われています。投手で4年目以降も成績を残せたのは野茂(英雄/元ドジャース)と長谷川(滋利/元マリナーズ)だけです。多くの日本人投手は4年以上、コンスタントに活躍することができません。それは日本での投げ込みなどハードワークが問題だと思われているのです。
しかし、その評価を黒田が打ち破ってくれました。200イニングを投げて、ローテーションを守り切ったことが何よりも評価されます。だから今、FAになった黒田にさまざまな球団からオファーが来るわけです。この黒田の活躍によって、日本人投手の評価が上がっています。
■日本人野手がイチローと比べられる不運 内野手は肩の弱さがネック
――野手に厳しい評価となっている理由はなんでしょうか?
野手ではイチロー(マリナーズ)が突出しています。松井秀喜(アスレチックス)は日本最強のパワーヒッターとしてメジャーに来ましたけど、評価はアベレージヒッター(打率を残せる打者)であり、クラッチヒッター(勝負強い打者)です。
多くの日本人野手にとっての不運はイチローと比べられてしまうことです。特に福留(孝介/インディアンス)は元マリナーズのピネラ監督の下でキャリアをスタートさせましたから、イチローのような活躍を期待されてしまいました。
そこで左投手に弱いと評価され、右投手の時にだけ起用されるようになりました。ピネラが激情型の監督で我慢をできなかったことも福留には不運でした。
ただ、福留はインディアンスで安定した成績を残しているので、日本人外野手の評価はキープできています。青木(宣親)は福留と比べられるので、それ以上の成績を残して、認められる必要があります。
――内野手についてはどうでしょうか?
内野手では松井稼頭央(東北楽天)が何とか頑張って、井口(資仁/千葉ロッテ)も成功と言えるでしょう。しかし、岩村(明憲/東北楽天)が適応できず、西岡(剛/ツインズ)も悔しい結果となりました。内野手については「やっぱり力不足」という評価が続いています。だから中島や川崎もバックアップ要員としてしか計算されないのです。
――内野手が苦しむ具体的な理由はあるのでしょうか?
肩ですね。日本人選手は守備範囲が広くても、ファーストまで矢のような送球を投げることができません。中南米出身のショートの選手はどこからでもビシっとした球を投げることができます。あの肩の強さの違いだけはどうしようもありません。
そうなると、日本人に期待されるのはセカンドになります。ショートはジーターのようなリーダーシップのある選手、サードは中軸を打てるチームの顔、ファーストはパワーヒッターと役割が固まっていますから、守備が重視されるセカンドならチャンスがあると思います。


