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| マウアー(左)、モルノーなど、ことしのツインズは若手が台頭し、近年にないチーム力を備えている【 (C)Getty Images/AFLO 】
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ワールドシリーズ制覇の可能性が高いツインズ
今季のア・リーグ中地区は、公式戦最終日までツインズとタイガースとの間で地区優勝とワイルドカードの座が争われたが、先に地区優勝を決めていたヤンキースのジョー・トーリ監督と、アスレチックスのケン・モッカ監督は、内心ともに地区シリーズでタイガースとの対戦を望んでいたことだろう。ツインズとの顔合わせになれば、メジャー現役最強左腕の座に上り詰めたサンタナが、中3日で第1戦と4戦に先発してくる可能性が高くなり、苦戦が予想されるからだ。結果は、6月2日の直接対決で、サンタナに8回を2安打、1失点、9奪三振、被打率わずか7分7厘に抑え込まれたアスレチックスが対戦相手となった。
サンタナを含め、地区シリーズの開幕投手8人には、それぞれの実力、さらに最近の例に照らし合わせても、ワールドシリーズにチームが進出した場合、シリーズ2勝、そしてMVP受賞の能力とチャンスは大いにあると考えられる。なかでも、3年連続15勝以上・防御率2点台のサンタナと、同じく3年連続15勝以上をマークし、防御率も昨年2.83、今季も3.09だったカーペンターの二人は、安定感で群を抜いた存在だ。先発して6回を3失点以内に抑える「クオリティースタート」の回数でも、カーペンターが32試合中20回、サンタナは34試合のうち実に23回記録している。
しかし、9月に泥沼の連敗街道に陥って、アストロズの猛追を受けたカージナルスは、公式戦最終日にようやくポストシーズン進出が決まったものの、依然として投打ともにチーム状態は落ち込んだまま。シリーズに駒を進める可能性は現時点では低い。一方のツインズは、5月に12.5もあった首位タイガースとのゲーム差を、後半戦の快進撃で大逆転して地区優勝をつかんだ勢いがある。新人王候補だったフランシスコ・リリアーノは惜しくも故障で戦列を離れたものの、サンタナを中心に、ブラッド・ラドキー、抑えのジョー・ネイサンと実力派ぞろいの投手陣に加え、打線もア・リーグの捕手として初の首位打者を獲得したジョー・マウアーをはじめ、ジャスティン・モルノー、トリー・ハンターといった主力打者が見事な「つなぎの重量打線」を形成し、1991年以来もっともワールドシリーズ進出、制覇の可能性が高くなったことは衆目の一致するところだ。
奇跡を起こす実力と可能性を秘めている
そうした勢いのあるチームをけん引するだけに、ツインズがもしシリーズに駒を進め、サンタナがもしこの大舞台でも開幕投手を務めれば、対戦相手となるナ・リーグの優勝チームにとっては最大の脅威となる。ちなみに今季の対左投手成績は、ドジャースがチーム打率2割8分5厘(リーグ2位/対右投手2割7分3厘)、パドレスが2割6分5厘(同6位/対右2割6分2厘)、で対右投手よりも高打率を残しているが、逆にカージナルスは2割6分4厘(同7位/対右2割7分1厘)、メッツに至っては2割5分4厘(同15位/対右2割6分8厘)で左を苦手にしている。
また、もしシリーズが最終戦までもつれることになれば、サンタナが3試合に登板する可能性も高まる。そうなればジョンソン以来5年ぶりのシリーズ3勝投手誕生も、彼の実力を考えれば誇大妄想では終わらないだろう。ちなみに、シリーズで3勝をマークした投手は、1905年のクリスティー・マシューソン(ジャイアンツ)以来、ジョンソンまでわずか9人を数えるのみで、そのうちすべて先発で勝ち星を挙げた投手(9人中6人)となれば、1968年のミッキー・ロリッチ(タイガース)までさかのぼらなければならない。しかし、そうした奇跡的な記録を達成する実力と可能性を今季のサンタナは間違いなく秘めており、またそれほどの大投手を擁するツインズが15年ぶりに世界一の美酒に酔うシーンも、決して「見果てぬ夢」とは言えなくなってきているのである。
<了>
■上田龍/Ryo Ueda
ベースボール・コントリビューター(野球記者・野球史研究者)。出版社勤務を経て1998年からフリーのライターに。2004年からスカイパーフェクTV!MLB中継の日本語コメンテーターも務める。著書に「MLBボールパークへの旅」など。野球文化學會会員、野球体育博物館個人維持会員。公式サイト&ブログ「Ryo’s Baseball Cafe Americain」も運営中
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