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| 松坂(左)とバリテックの信頼関係は試合を重ねるごとに深まっている【 (C)Getty Images/AFLO 】 |
信頼関係構築に必要なのは?
4月27日(現地時間)のヤンキース戦、3連続四球などで4失点した試合後、松坂は胸の内をこう明かした。「DVDを見たり、ミーティングで話しても、対戦しないと分からないことがある。慎重になり過ぎていることもあるけど、考え過ぎになっている。ただ新しい相手との対戦が続くわけで、僕の中では仕方がないとも思う」。この試合も、バリテックのコールに何度か戸惑いながら、2回しか首を振らなかったのである。
バリテック自身は、捕手としての豊富な経験から、信頼関係は一朝一夕ではできないと分かっていて、キャンプ終了時点でこう言っていた。
「大輔との信頼関係はできたのか?」
と質問したのだが、
「信頼関係は意味のある試合(公式戦)で初めてつくられるもの。キャンプの期間は一緒にいる時間が長いから、互いのことを知り合うチャンスだし、投手について学ぶ貴重な機会だ。でも、キャンプで信頼関係を構築することはできない」
関係構築のプロセスについてはこう説明した。
「大切なのはAGREE TO DISAGREE(互いに意見が違うことを認め合うこと)なんだ。重要な試合で、どうやって打ち取るかで意見が食い違ったとき、互いの考えを説明し合うことで、より相手を理解できる」
その上で、メジャーではバッテリーの主導権を握るのは投手だという。
「投手と捕手は違う角度から野球を見ている。意見が食い違うのは当然。私の役割は投手が打者を打ち取る手助けをすること。最終的に何を投げるか決めるのは投手なんだ」
この日米の違いは、マリナーズの城島健司捕手が昨季直面したもので、「投手が2度続けて首を振ったら、投手の投げたい球を投げさせるように言われていますから」と戸惑っていたのである。
バリテックは4月27日のヤンキース戦について、悪くなかったと感じていた。同じように四球から崩れたとはいえ、17日のブルージェイズ戦とは違う。
「トロントでは明らかにボールが高かったが、今回は狙ったところを微妙に外れて、アレックス・ロドリゲス、松井秀喜らを歩かせた。満塁でジョニー・デーモンに打たれた右前適時打も低めのチェンジアップで、打者は体勢を崩していたし、悪くない球だった」
“指”での会話には時間がかかる
ただ松坂が会見で「対戦しないと分からないことがある。考え過ぎになっている」と言っていたと伝えると、「そうなのか、それについてはできることがある」とうなずいた。5月4日、ミネアポリスでのツインズ戦、ナックルボールのティム・ウェイクフィールドの登板日でバリテックは休みなのだが、2人で通訳を交え「5イニング分(約1時間)」話し込んだのである。
このことが幾分、前進につながったのだろう。5月9日、ブルージェイズ戦の7回1失点の好投の翌日、ジョン・ファレル投手コーチが「大輔がバッテリーミーティングで自分の意見を言うようになってきた。最初のころは、バリテックに遠慮したのだろうけど、特に1度当たった打者については彼なりの考え方を口にしている」と言っていたのである。そして14日のタイガース戦、19日のブレーブス戦と好投を続けたのである。
もっとも結果が出ているからといって、すべてが解決したわけではない。バリテックは19日の試合の後も「毎試合、受けるたびに、個々の球種で新しい発見がある」と言う。やはり1シーズンはかかるのだろう。
城島は言う。
「僕らの会話は“指”でやるんです。“指”で信頼関係を築こうと思えばそれは何度も試合で戦っていかなければならない。時間はかかりますよ」
まだシーズンの3分の1も終わっていないのである。
<了>
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