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| 一流は一流を知る!? 松坂の「完ぺき主義」を理解するカート・シリング(左)【 (C)Getty Images/AFLO 】 |
完ぺきを求めるのは大投手の証!?
大投手にしか分からないレベルのことなのかもしれない。
松坂大輔が突如制球を乱し3連続四球などで自滅を繰り返していたとき、レッドソックスの監督、コーチ、捕手などは、
「大輔は完ぺき主義過ぎるところがある、ボールに力があるんだから、自信を持ってストライクゾーンに投げ込めばいい」
と言っていた。正直、筆者もそう感じた。
松坂はちょっと困ったように「別に自分のボールに自信を持てなくなっているわけではないんですけど」と話したものだった。
そんな中で一人だけ違うことを言う人がいた、エースのカート・シリングである。完ぺき主義者であることがピッチングの妨げになっていないかと尋ねると、こう言い切ったのだ。
「徹底的に完ぺきを求めていくことで、偉大な選手と、普通の選手の違いが出てくる。偉大な選手は完ぺきにできないことにいら立つが、そういう考え方だからこそ、偉大な選手になれる。(松坂は)きょうは悔しくて眠れないだろうけど、次の登板にきっちり合わせてくると思う」
5月3日(現地時間)、初回に5点を奪われたマリナーズ戦の後である。硬いマウンド、よく滑り動き過ぎる(コントロールしづらい)ボール。松坂はいろいろなことに違和感を抱いてはいたが、妥協することなく、メジャーでのハイレベルのピッチングをつくり上げていこうとしていたのである。
ピアザが語る野茂との関係
そのシリングの言葉を聞いたときに、思い出したのが春のキャンプでアストロズのデーブ・ワレス投手コーチに聞いたエピソードだった。2004年、シリングがレッドソックスに移籍してきたときの投手コーチで、「シリングとジェイソン・バリテックが信頼関係を築き上げるのにほぼ1年かかった」と説明していた。1995年、野茂英雄がドジャースに入団したときのコーチでもあるのだが、「野茂とマイク・ピアザ捕手のケースはすぐに息が合ったんだ」と言う。なぜバッテリーによってこうも違うのだろうか。5月2日、ピアザ(現在はアスレチックスでDH専門)がフェンウェイ・パークにやって来たので、その話をぶつけてみた。
38歳のピアザが12年前を回想する。
「投手の中には、配球にこだわってすべて自分でやりたいというタイプがいる。一方で、配球は捕手に任せて投げることだけに集中する投手もいる。あの年の英雄は私のことを全面的に信頼してくれた。片言のコミュニケーションだったけど、英雄の表情や態度からそれはよく分かった。それだけに『いい配球をしないと』と、当時まだ26歳の私は一生懸命準備したよ」
デビュー最初の1カ月は好投しても勝ち星に恵まれなかったが、6月に6連勝してオールスターゲームに出場した。
「英雄は松坂大輔と違って、速球とスプリット(フォーク)しかなかったけど、それでメジャーの強打者を圧倒した。スプリッターは向かうところ敵なしだった。あの年、ほとんどの打者がひどいスイングをさせられていたからね。英雄は純粋なストライクアウト(奪三振)ピッチャーで、走者が出て、二塁へ、三塁へと盗塁されても全く気にしない。彼の調子が良ければ誰であろうと三振に取れる自信を持っていた」
シリングはピアザの言う、配球にこだわって自分でやりたいタイプである。相手打者だけでなく、アンパイアの特徴まで克明にメモを取り、コンピューターにデータとしてストックし、徹底した準備をする。その彼が04年にナショナルリーグからアメリカンリーグに移ってきて、バリテックに最初は任せるのかと思いきや、そうではなかった。おかしいと思ったら、そこは妥協しない。04年といえば、レッドソックスが86年ぶりのワールドシリーズ制覇を成し遂げ、シリング自身も20勝を挙げたのだが、2人の間には葛藤があったのである。
松坂についても同じなのだろう。こちらの打者のことを知らないから、最初はバリテックに任せていた。しかし彼も相手打者の動きから、打者の狙いを感じ取ることができる。投げたい球がある。それはバリテックも3月11日のオリオールズ戦(オープン戦)で気付き、「あの観察力はペドロ・マルティネスを思い出す」と褒めていた。その上、野茂と違って球種が多く、攻め方のバリエーションも多彩だ。
<続く>
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