韓国を五輪へ導いた李スンヨプらの奮闘
野球・北京五輪世界最終予選リポート
2008年03月17日
室井昌也
大車輪の活躍で韓国を五輪出場へと導いた李スンヨプ 【 写真は共同 】
役者がそろい強さを発揮した韓国
昨年12月の北京五輪アジア予選で日本に敗れ、北京行きを世界最終予選に持ち越した韓国。参加8チーム、北京へのキップは3つという戦いで、韓国は6勝1敗の2位(カナダと同率。直接対決の結果によりカナダが1位)となりシドニー五輪以来、2大会ぶりの五輪出場を決めた。
今回の最終予選と12月のアジア予選との一番の違いは、左手親指手術でアジア予選は出場を断念した、李スンヨプ(巨人)がいることだ。韓国代表といえば、3番・李スンヨプ、4番・金東柱(斗山)というのが、ここ10年のお決まりのラインアップ。これに2006年三冠王の李大浩(ロッテ)が加わり、最強のクリーンアップトリオがそろった。李スンヨプは今大会で、打率4割7分8厘、2本塁打、打点は2位以下に4打点差をつける12をたたき出し他チームを圧倒。パワーだけではなく、たとえタイミングを外されてもヒットにする技ありのバッティングが光った。
投手陣では3試合に総力戦で挑んだアジア予選とは異なり、7戦行う今回は先発陣を充実させた。ワールドベースボールクラシックでアメリカ戦に先発し勝利した孫敏漢(ロッテ)、今季メジャーリーグから韓国球界入りした金善宇(斗山)、アジア予選で台湾戦に先発した柳賢振(ハンファ)と豪華な面々が並んだ。そして、昨年のアジアシリーズで中日から勝ち星を挙げ、評価がアップするも、アジア予選では予備エントリーに入っていなかったため選出できなかった2年目左腕、金廣鉉(SK)が満を持しての代表入り。メキシコ戦、台湾戦に先発し2勝を挙げ、期待通りの活躍を見せた。
見逃せない脇役たちの活躍
アジア予選より代表らしいメンバーがそろい、五輪行きを手にした韓国代表。そんな中、チーム内でのレギュラー争いによるニューヒーロー誕生という予期せぬ効果も表れた。アジア予選にも参加した俊足の1番打者・李鍾旭(斗山)の状態が良くないとみると、2戦目からは左打者で同タイプの李容圭(キア)に入れ替え。これがズバリ的中し、李容圭はチームで李スンヨプに次ぐ打率4割を残し、積極的な走塁で大会トップの11得点を生んだ。金東柱が身内の病状悪化により途中帰国した4戦目からは、李容圭とスタメン落ちに奮起した李鍾旭が1、2番としてかき回し、3番・高永民(斗山)へと続く俊足トリオが4番に入った李スンヨプへつなぐ打線を形成し、その穴を埋めた。
また、外野と一塁手ができるという理由で代表入りした守備要員の金周燦(ロッテ)が、16打数10安打の活躍。昨年の野球ワールドカップでの好投により、今回代表に抜擢されたプロ12年目の黄斗聖(ウリ)は4試合に登板。速球を武器に5回1/3を無失点に抑えるなど、脇役の働きも韓国の五輪行きに一役買った。
8月の五輪本戦では今回のメンバーをベースに、シーズン中の状態により選手が選ばれる。現時点で、金卿文代表監督(斗山)は「(メダル獲得での兵役免除恩恵はあるが)兵役未終了者を考慮しての選出はしない」としている。しかし、このことは今後の選考に少なからず影響するだろう。
シドニー五輪では3位決定戦で激闘を繰り広げ、銅メダルを争った日本と韓国。それ以来、8年ぶりの五輪での対決に向け韓国は3カ月遅れでスタートラインに立った。
<了>
・野球・北京五輪世界最終予選結果
■室井昌也/Masaya Muroi
1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、今年で5年目となる著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』(小学館スクウェア)の2008年版を4月16日に発売。アジアシリーズや北京五輪アジア予選でも中継放送局への情報提供などを務める。韓国のスポーツ紙・スポーツ朝鮮でもコラム『室井の近くて遠い韓日野球』を韓国語で執筆・連載中。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長
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