明治神宮大会総括

トーナメント表
天理
(近畿・奈良)
中京大中京
(東海・愛知)
清峰
(九州・長崎)
倉敷工
(中国・岡山)
西条
(四国・愛媛)
慶応
(関東・神奈川)
慶応
(関東・神奈川)
光星学院
(東北・青森)
国士舘
(東京)
鵡川
(北海道)
日本文理
(北信越・新潟)

慶応が“エースに頼らない野球”で初優勝
注目集めた秋山の西条高は準決勝で敗れる

“エースに頼らない野球”をテーマに戦った慶応高が秋の王者となった【写真提供:高校野球情報.com】

“エースに頼らない野球”をテーマに戦った慶応高が秋の王者となった【写真提供:高校野球情報.com】

 第39回明治神宮野球大会高校の部は、関東地区代表の慶応高(関東・神奈川)が初優勝を飾った。
 慶応高は146キロ右腕のエース・白村(はくむら)が関東大会で腰を痛め、今大会は無理ができない状態だったため、白村に頼らない野球をテーマに神宮大会に臨んだ。
 そんな中、結果を出したのは投手陣。まず、初戦の光星学院高(東北・青森)戦、3安打2失点で完投した1年生の明(みょう)。関東大会では決勝で1死も取れずに降板するなど、ほとんど力を発揮できず、上田誠監督も「まずアウトを1つ取ろうと言っていたが、まさか完投までしてしまうとは」と驚きの表情を見せた。それでも関東大会後にはしっかり反省点を見つめ直し、スプリットの習得を勧めるなど、大きな舞台で自信をつけさせたいという親心も垣間見えた。
 準決勝の鵡川高(北海道)戦では同じ1年生の瀧本が公式戦初先発で6安打完封。こちらは、「関東大会中に覚えたフォークが今日は良かったです」と笑顔。2人の1年生投手がたくましく成長する姿を見た白村も決勝の天理高(近畿・奈良)戦で好リリーフ。大きな収穫を得て、冬を迎えることができそうだ。
 決勝では6失策の数字が示す通り、守備が破たん。「関東大会でミスが出ずに慢心してしまっていた。冬は地道に守備練習をやっていきたい」と上田監督はやや渋い表情。秋の頂点に立ったことを聞かれても「春のセンバツでは1勝を目標にする」と謙遜(けんそん)するばかりだった。

 準優勝の天理高も近畿王者の底力を十分に発揮した。そのハイライトは準決勝の西条高(四国・愛媛)戦。西条高の豪腕・秋山を相手に4回まで9安打を浴びせながらわずか1得点。しかも後半はパタリと攻撃が止まってしまうという悪い流れを土壇場の9回に変えて見せた。2点をリードしていた西条高は、パターン通りに徳永への継投に出たが、先頭の代打・橋本が相手の失策で出塁したのをきっかけに、ヒットと犠打でチャンスを広げると、2番・原田が2点適時二塁打で同点。相手のわずかなリズムの狂いを見逃さなかった。
 天理高の打線は、ヒーローはいないが個々がしっかりと役割を果たす。それは攻撃の前にも見ることができた。チームの円陣にランナーコーチも加わる。これは攻撃の意思をしっかりと確認するためだ。イニングの間は速やかにポジションに就くというルールがあるため、円陣の間は代理として投手をコーチャーズボックスに置き、攻撃の直前に入れ替わる。こうした高いレベルの野球を見せた天理高だが、決勝では投手陣が踏ん張れず、守備面でもミスが相次ぎ敗れた。森川監督は「(勝てなかったのは)投手の継投を間違えた私のミス。白村君が出てきてまったく打てなかったように、この大会でまだ全国に通用する力がないことを実感した。この負けを子どもたちがどうとらえるか。すべてにおいてレベルアップしないといけない」と厳しい表情を崩さなかった。

 投打で今大会最も注目された西条高の秋山は打の方では不振を極めた。「県大会の時からずっと調子が悪かった。四国大会でホームランを打ったのはたまたまです」と振り返った。それでも、「自分のストレートが全国でも通用すると分かった。コントロールには自信があるので、冬にしっかりと練習したい」と投手としては手応えを感じていた。
 北海道を制した鵡川高も今大会2勝して4強に進出した。エースの西藤は右の本格派で球質の重いタイプ。ただ、「全道大会の時から疲労がたまると、投げる時に腕が震える。投球に集中できなかった」と原因不明の症状に悩まされていることを明らかにした。センバツでどのように変わってくるか、やや気がかりだ。それでも柳田、石井の右腕2人が慶応高戦で好投。佐藤監督は「投手陣のレベルは過去のチームより高い」と自信を深めていた。

 4強以外の6校はいずれも初戦で姿を消した。その中で注目されたのは、光星学院高の下沖と清峰高(九州・長崎)の今村の2投手。ともにMAX146キロを誇る全国屈指の右腕。特に下沖は今大会でも146キロを記録し、初めて見る観衆の度肝を抜いた。やや単調になる部分を直せば、さらに勝てる投手になるだろう。逆に今村は大会直前に、ウイルス性の風邪にかかり、腕がまったく振れていなかった。だが、昨年夏の甲子園での投球を思い起こせば、春にどんな姿になっているかが楽しみだ。

<text by 松倉雄太>

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明治神宮大会結果
決勝 慶応 8対6 天理
準決勝 天理 4対3
(延長12回)
西条
  慶応 6対0 鵡川
準々決勝 天理
(近畿)
9対1
(7回コールド)
中京大中京
(東海)
  西条 12対8 清峰(九州)
  鵡川 6対3 国士舘
(東京)
  慶応
(関東)
4対2 光星学院
(東北)
1回戦 西条
(四国)
2対0 倉敷工
(中国)
  鵡川
(北海道)
11対6 日本文理
(北信越)

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