コラム
松倉雄太
スポーツナビ

報徳学園高・近田、試練の先の輝ける場所

2008年6月13日(金)

■昨夏の甲子園以降、近田を襲う試練

報徳学園高のエース・近田。次々に襲ってくる試練を乗り越え、再び甲子園のマウンドに立てるか
報徳学園高のエース・近田。次々に襲ってくる試練を乗り越え、再び甲子園のマウンドに立てるか【島尻譲】

 夏に復活を懸ける男がいる。「周りに迷惑をかけた。もう一度マウンドで躍動する姿を見せたい」と話す報徳学園高のエース・近田怜王(3年)だ。
 昨夏の甲子園。マウンドには苦痛の表情を見せる近田の姿があった。初戦の青森山田高戦で1点を失ったあとの7回、近田はマウンドを降りた。熱中症だった。チームも0対5と敗戦。
「精神的に成長してもう一度戻ってきます」
 試合後、涙を拭いながらインタビューに答えた近田。しかし、これは苦しみの序章に過ぎなかった。

 新チームになって迎えた秋になっても、「ピッチングをしても球がどこへ行くか分からない。右打者に対して全然投げられない」という状態が続いた。夏の後遺症は想像以上のものだった。右腕・岡田大裕(3年)らの奮闘でチームは近畿大会まで勝ち上がったが、近田の背番号は「3」。平安高(京都)との初戦、近田はブルペンで準備したが、投手としての出番はなく、最後の打者となり敗戦。3季連続の甲子園出場を逃した。
「自分が投げられる状態だったら違った結果になったかもしれない、という気持ちは正直あります。あの時は投げられただけで良しという状態でした」と当時を振り返った近田に対して、永田裕治監督も「将来のある子ですから」と無理をさせなかった。

 その後、「11月から12月にかけて全く投げなかった。肩を使わなかったのが大きかった」という一冬を越して、ことし3月に近田は再びマウンドに戻った。だが、試練はまだ終わらなかった。4月の春季県大会地区予選では準決勝で甲南高に敗退。先発した近田は3失点で敗戦投手になった。「またか」の思いがよぎった。16年ぶりに県大会に進めなかった報徳学園高も今夏はノーシードからとなった。

■再び甲子園のマウンドに立つために

最後の夏に復活を期す近田。その表情は練習中も明るい
最後の夏に復活を期す近田。その表情は練習中も明るい【島尻譲】

 さまざまな試練を経て、高校最後の夏を迎える近田だが、6月に取材したときには「今は投げられる楽しさを感じています」とその表情は明るかった。きっかけとなったのは、5月15日の北大津高(滋賀)との練習試合。センバツで2勝を挙げたチームを相手に完封したのだ。
「あの試合が大きかった。きっかけみたいなものをつかんだ気がします。1年のころの良かったときの状態をやっと思い出してきたような感じでした」
 完封という結果とともに、夏に向けてようやく手応えを感じることができたマウンドだった。
 
「(夏に)間に合ったから言えるのかもしれませんが、今思えばいい壁だったのかな。表面では明るく振舞っていたけど、野球をしているのが辛いと思ったこともありました。今は、悪い部分は全部出たと思えるようになった」
 昨夏の甲子園以降、苦しんできた1年を近田はそう振り返った。そして、
「今はいいイメージで投げることだけを考えています。調整とかではなく、1日ずつ状態が上がっていけばいいですね。夏は甲子園に出るのはもちろん、甲子園で負けないピッチングをしたい」
 と昨年以来、3度目の甲子園へ向けての抱負を口にした。
 再び輝ける場所に戻るために――近田はマウンドに上がる。

■近田怜王/Reo Chikada
 1990年4月30日生まれ。兵庫県三田市出身。176センチ、82キロ。左投左打。つつじが丘小2年から野球を始める。報徳学園中時代は三田シニアに所属し、3年夏には全国大会ベスト4に進出した。日本代表のメンバーとして臨んだ世界大会で4位。報徳学園高では1年秋からベンチ入りし、2年時にはエースとして春夏と2季連続甲子園出場を果たした。左上手から最速147キロのストレートを投げる本格派

<了>

松倉雄太

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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日程・結果
【 第17日 】 8月18日(決勝)
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【 第16日 】 8月17日(準決勝)
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【 第15日 】 8月16日(準々決勝)
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【 第14日 】 8月15日(準々決勝)
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【 第13日 】 8月14日(3回戦)
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第1試合関東一 1−3 浦添商
第2試合 青森山田 0−2 慶応
第3試合 東邦 5−7 大阪桐蔭
第4試合 横浜 3−2 仙台育英
【 第12日 】 8月13日(3回戦)
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第1試合聖光学院 5−2 市岐阜商
第2試合 常葉菊川 11−9 倉敷商
第3試合 駒大岩見沢 3−15 智弁和歌山
第4試合 鹿児島実 3−7 報徳学園
【 第11日 】 8月12日(2回戦)
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第1試合大阪桐蔭 6−5 金沢
第2試合 広陵 4−7 横浜
第3試合 仙台育英 6−4 福井商
【 第10日 】 8月11日(2回戦)
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第1試合本庄一 0−4 青森山田
第2試合 慶応 5−0 高岡商
第3試合 清峰 4−5 東邦
【 第9日 】 8月10日(2回戦)
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第1試合鹿児島実 4−1 宮崎商
第2試合 智弁学園 4−5 報徳学園
第3試合 関東一 5−2 鳴門工
第4試合 浦添商 12−9 千葉経大付
【 第8日 】 8月9日(2回戦)
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第1試合福知山成美 1−2 常葉菊川
第2試合 佐賀商 0−2 倉敷商
第3試合 盛岡大付 3−8 駒大岩見沢
第4試合 智弁和歌山 5−2 木更津総合
【 第7日 】 8月8日(1回戦・2回戦)
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第1試合菰野 1−4 仙台育英
第2試合 福井商 6−1 酒田南
第3試合 聖光学院 9−2 加古川北
第4試合 市岐阜商 4−3 香川西
【 第6日 】 8月7日(1回戦)
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第1試合大阪桐蔭 16−2 日田林工
第2試合 桐生一 1−6 金沢
第3試合 広陵 8−5 高知
第4試合 浦和学院 5−6 横浜
【 第5日 】 8月6日(1回戦)
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第1試合白鴎大足利 3−11 清峰
第2試合 東邦 15−10 北海
第3試合 大阪桐蔭 中止 日田林工
【 第4日 】 8月5日(1回戦)
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第1試合本庄一 5−4 開星
第2試合 青森山田 2−1 日本航空
第3試合 慶応 6−4 松商学園
第4試合 大府 1−5 高岡商
【 第3日 】 8月4日(1回戦)
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第1試合常総学院 5−13 関東一
第2試合 本荘 3−4 鳴門工
第3試合 浦添商 7−0 飯塚
第4試合 千葉経大付 3−1 近大付
【 第2日 】 8月3日(1回戦)
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第1試合日大鶴ケ丘 1−14 鹿児島実
第2試合 城北 1−7 宮崎商
第3試合 智弁学園 5−4 近江
第4試合 新潟県央工 2−4 報徳学園
【 第1日 】 8月2日(1回戦)
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第1試合 駒大岩見沢 8−6 下関工
第2試合 済美 0−3 智弁和歌山
第3試合 鳥取西 1−6 木更津総合

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