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第79回全国高校野球選手権大会 Yahoo! スポーツ
コラム

熱戦続いた12日間を振り返る
第79回センバツ総括

2007年04月04日
(松倉雄太)

攻守にチームに貢献した常葉菊川の捕手・石岡
攻守にチームに貢献した常葉菊川の捕手・石岡【 写真は共同 】

攻守に貢献した常葉菊川・石岡

 第79回選抜高校野球は、常葉菊川高の初優勝で幕を閉じた。今大会から低反発球の導入もあって、本塁打数は10(昨年14)と減少。その分、単打の積み重ねがいかに大事かを再認識させられた大会でもあった。また、大味な試合がほとんどなく、全体的に締まった試合の多い大会だった。

 優勝した常葉菊川高は東海大会の優勝校でありながら、前評判はそれほど高くなかった。バッテリーを中心とした守りのチームという印象を覆したのは、大会前の甲子園練習。バント練習をほとんどせず、選手がのびのび打つ姿に驚かされた。送りバントをしない野球は、大会に入っても実践された。好投手・佐藤由規(仙台育英高)と対戦した1回戦。4回無死一、二塁と先制のチャンスでも、森下知幸監督は強行策を指示し成功。7番・前田の2点タイムリーにつながった。この策は1点リードされていた準決勝や決勝でも同様だった。
「いつまでも犠牲バントで相手に一つアウトをあげる野球では勝てない」と話した森下監督。3年前に初出場で初優勝した済美高の野球を目の当たりにして実感したことだった。看板であったバッテリーの活躍も、チームに大きな安心感を与えた。特にエース田中健二朗の成長が著しく、秋より制球力が格段に増した。それが、もともとインサイドワークに評価が高かった石岡諒哉捕手のリードの幅を大きく広げた。その石岡は、準々決勝以降ではチームを救う一打をたびたび放ち、攻守に貢献。MVP級の大活躍を見せた。


常連校のような戦いぶりだった大垣日大

大垣日大の森田は5試合すべてに完投
大垣日大の森田は5試合すべてに完投【 写真は共同 】
 チームの中の『安心感』、『気持ちの余裕』、その2つをいかに失わず試合に臨めるか。これも勝利への大きな要素だ。そういう意味では、準優勝した大垣日大高・阪口慶三監督の存在は大きい。初出場校は平常心を失いがちになるものだが、このチームは違った。1回戦からまるで常連校のような試合巧者ぶり。甲子園出場25回を誇るベテラン、阪口監督のさい配がことごとく当たった。5試合すべてで完投した森田貴之投手のピッチングも見事。鍛えられた強じんな下半身が支えとなって、最後まで大きく球威は落ちることがなかった。今後、いい意味で『抜く』ピッチングを覚えられれば、夏にはさらに成長した姿を見せてくれるだろう。

 2回戦でエース大田阿斗里の負傷というアクシデントがあっても動じず、準々決勝までは対戦相手を序盤で圧倒した帝京高。優勝候補らしい戦いぶりだったが、大垣日大高との準決勝では思わぬもろさを見せた。先制した直後に逆転を許し、今大会、初めて相手にリードされる展開になったことで、それまでに見られなかった焦りが出てしまった。それが顕著に表れたのが9回の攻撃。本間弘士、上原悠希のしつこい1、2番が、わずか5球で打ち取られた。最後の打者となった中村晃主将も、3球目を引っ掛けてセカンドゴロ。「最後の最後でああいう焦りが出てしまった。悔いが残る」と中村主将が話したように、夏への課題が明白になった。


特別枠も一般枠の出場校とそん色なし

優勝候補の呼び声高かった大阪桐蔭は準々決勝で常葉菊川に敗れた
優勝候補の呼び声高かった大阪桐蔭は準々決勝で常葉菊川に敗れた【 写真は共同 】
 9回を守り切ることの難しさを思い知ったのが、熊本工高の隈部智也投手。準々決勝までの3試合すべてで9回に失点。「嫌な予感がした」と話した準決勝・常葉菊川高戦でも悪夢が待っていた。先頭打者に二塁打を浴びると、途端に制球が甘くなり逆転を許した。

 優勝候補と呼ばれていた大阪桐蔭高だったが、常葉菊川高との準々決勝では昨秋の近畿大会(報徳学園高戦)に続いて、またも左投手に封じこまれた。エース・中田翔が弱気になった時に、チーム内に広がる動揺も気になった。

 今大会では希望枠の大垣日大高をはじめ、21世紀枠の都城泉ケ丘高、神宮大会枠の室戸高などの活躍が目につき、特別枠でも一般枠の出場校とそん色ない力があることを実証してくれた。すべてのチームにとってセンバツはあくまでも通過点にすぎない。優勝した常葉菊川高の静岡でも、昨夏に活躍した大野健介投手擁する静岡商高など多くのチームが虎視眈々(たんたん)と夏を狙っている。センバツで満足することなく、さらなる向上心で夏を目指してほしい。

<了>

■松倉雄太/Yuuta Matsukura

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、『こちらアマチュア野球情報発信局』に携わったり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中

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